重層長屋のメリット・デメリット

路地状敷地 副長のブログ
路地状敷地

先日、こんなTwitterのまとめがあったのでブックマークしていました。

数年前から都内で問題となっている、いわゆる重層長屋について茶化してるものですね。

この重層長屋が建てられる背景などを考えてみました。

重層長屋とは?

重層長屋とは、一見すると二階建てもしくは三階建てのアパート(マンション)です。

通常のアパート(マンション)と異なるのは、各住戸に通じる専用階段や通路が設けられており、共用廊下やバルコニーなどの共用部がないこと。
見た目でいうと、やたらと階段やドアが多いなと感じるかもしれませんね。
先のTwitterまとめで茶化してるのも、その外見の異様さですね。

なぜこのような奇妙な建物が建てられるのでしょうか?

重層長屋が建てられる背景

通常のアパート(マンション)はまとめて共同住宅と呼ばれ、建築基準法上で特殊建築物として規定されています。

一方で長屋は多数の住戸が集合しているという意味では共同住宅と同類とも思えますが、法的には共同住宅ではなく特殊建築物にもあたりません。

したがって以下のような違いがあります。

建物の耐火性能

共同住宅を含む特殊建築物は不特定多数の人が利用する建築物であるということから、建築基準法で建物の耐火性能について厳しく規制されています。
例えば、三階建て以上のものは原則として耐火建築物にしなければなりません。

一方で長屋は特殊建築物にあたらないため、この規定の対象外となります。
建築コストの面でいえば、かなり抑えられるでしょう。

路地状敷地でも建てられる

路地状敷地

路地状敷地

図のような路地状部分が前面道路に接している土地を、路地状敷地(旗竿地)と呼びます。

東京都建築安全条例によると、共同住宅を含む特殊建築物は原則として路地状敷地には建てられません。

しかし長屋であればこの規定は対象外となり、路地状部分の幅員が2mないしは3mあれば建築可能です。

窓先空地の必要なし

東京都建築安全条例により、共同住宅では各住戸の窓から敷地境界線まで一定の距離の空間(窓先空地)を設けなければなりません。
この窓先空地の規定により建ぺい率いっぱいの建物を建てることはできず、採光通風が確保されます。

一方で長屋では、この窓先空地の対象外となります。

重層長屋を建てるメリット

このように共同住宅と重層長屋とは、相当に異なる種類の建築物であるといえます。

重層長屋を建てるメリットとしては、土地の有効活用ができるということがあります。

先ほど示した路地状敷地のように、通常では戸建て住宅しか建てられない土地であっても重層長屋の設計にすることでアパートやマンションが建てられます。
賃貸ニーズがある地域であれば、地主は賃料収入を得ることができますね。

限りある土地を死なせずに有効活用できるというメリットはあるでしょう。

重層長屋のデメリット

重層長屋のデメリットとしては、やはり防災上のリスクが増えるという点でしょうか。

先ほど示したように、構造上は耐火性能の低い建物であり、敷地内の配置も空地が少ないため、火災が発生した時の危険性は増大します。

また街づくりとしてみても、このような重層長屋が増えると建物の密度が高い、いわゆる建てづまりの状態になり災害時の消防活動などへの支障となります。

今後は規制されていく流れでは

東日本大震災以降、災害に強い街づくりというのは自治体の大きなテーマとなっていますから、重層長屋が密集しているような状態は避けなければなりません。

実際に世田谷区などでは、重層長屋の建築をある程度規制するための条例制定を行っています。

今後はこのような奇妙な建築物は、姿を消していくのが健全な姿ではないでしょうか?

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